入社してほしい能力を明確にイメージする。
営業職、事務職、技術職、現業職、専門職。職業もいろいろです。そんないろいろな職業がある中で、その職業に向いている(欲しい)人を採用するために、採用する人に対して求める(求めたい)能力のイメージを採用側がしっかり持っているのと持っていないのでは、採用結果が随分と違ってくるものです。たとえば営業職では、明るいか、話好きか、会話力があるか、理解力はどうか、ヒアリング力を持っているか、をチェック。でもちょっと待って。本当にこんな観点だけでちゃんと仕事をこなしていける人かどうかの選考、できていますか。
■もっと具体的に能力をイメージしてみる。
どんな人材を求めますか。と採用担当者に質問すると、よく帰ってくることばが、「コミュニケーション力のある人」という答えです。ではその企業にとって求められるコミュニケーション力っていったいどんな能力なのか、それをちゃんと答えられる、つまり、欲しい能力としてもっと掘り下げて考えきれている採用担当者は意外と少ないものです。 “もっと具体的に能力をイメージする” ためのひとつの手法= “掘り下げて考えてみる” ことを取り上げてみます。
■営業職が持つべきコミュニケーション能力って?
コミュニケーション能力を考える時、そのフィールドはとても広いですね。コミュニケーション能力には対外的なコミュニケーション能力と内部へ向けてのコミュニケーション能力があります。対外的なコミュニケーション能力はお客さまや社外の人に対するコミュニケーションに関して。たとえば、初めて会うお客さまに好印象を持ってもらう能力。緊張せずに意図したことを説明できる能力。同じ説明でもよりわかりやすい説明ができる能力。相手の事情を考えて接することができる能力。帰ってくる回答に対してうまく話をつなげていける能力。相手のタイプによって対応を変えられる能力。相手の要望をや欲求を聞き出す能力。もっともっといろいろあります。では、内部へ向けてのコミュニケーション能力とはどんなことでしょう。内部とは会社内の人たちとのコミュニケーション能力のこと。営業活動で得た情報を会社内の関係者に伝える能力。上司への報告であったり、同僚への配慮であったり、部下への指示であったりします。また製作現場への報告依頼であったりもあるでしょう。こんな多岐にわたるコミュニケーション力のうちいくつかピックアップしてみて、それが採用しようとしている人に備わっているのかどうか、観察してみる。こんな観点で相手をみていくとその人が会社に入社後にどのくらい仕事をこなしていけるのか、またちゃんと会社内の人とコミュニケーションをとっていけるのかを判断することができるでしょう。もちろん、応募者側は、採用(面接)段階でその会社のこと、仕事のことを熟知しているわけではないので、あくまで一般的な話の中でイメージングとシュミレーションを行いながら判断していく必要があります。
■コミュニケーションの内、たとえば、ヒアリング力を試す。
相手の要望や欲求を聞き出す能力。つまりヒアリング能力をみたい場合。面接時にこちらから一方的に質問をするだけではその人に備わっているのかどうかはわかりません。また応募者側から会社に対する質問や仕事への質問をしてもらっても、応募者も会社側への遠慮もあってあたりさりのない内容に終始してしまいがちです。この場合、仮想設定で、面接に臨んでいるのではなく、現在の会社を取材しにきた取材者として質問をしてもらうという設定にしてみます。「会社の特長を教えてください」。「ライバル社と競合した時どんな点で優位にたてますか」。「現在力を入れている製品は何ですか」。「商談会やセミナーにはどんな製品やサービスを紹介されていますか」「今、会社の課題は何でしょうか」。こんな質問が出てきたら成功です。仮想設定の中で応募者側もいろいろな角度から質問が考えられるので、その人の質問能力や話のうまさも伺いしれてヒアリングする能力を判断できる可能性が高まります。このような設定はいきなり面接の現場では思いつきません。設定と質問を事前に準備するためには、やはりどんな観点でその人をみていくべきか、採用側があらかじめ考えて採用現場に臨む必要があるのです。また、面接者当人もその場で質問を即興で考える必要性がありうまく対応するためには普段から培っている思考力の深さが問われてきます。応募者の真の実力が見えてきそうです。