面接時、応募者にこう聞きたい!
面接時、応募者にこう聞きたい。“読んでいる本”
活字離れ、こう叫ばれてから久しいですね。最近の若い人は本を読まないのでしょうか。確かに若い人にかぎらず中高年も今では本よりスマホといったところでしょうか。電車の中で本を読んでいる人がめっきり少なくなりました。
こんな時代を受けてでしょうか。今後学校で教える国語も今までの暗記中心の授業から考えるチカラを養成していくような授業に変えていく。最近そんな記事を目にしました。実は国語のチカラは仕事を進めるにも大切な要素なのです。
■メール文化全盛時代
メール文化全盛です。普段の仕事もメール中心のコミュニケーションが日常となってしまいました。お問い合わせ、お見積り、交渉ごとややりとり、納品連絡や請求書、商品注文や注文請け、発送案内、あれもこれもメールで済ませる時代です。実際にお互いが一度も会うことなく、商談から納品まで済ませることもザラにある時代です。
こんな現状においては、やはり、ちゃんと伝える、正しく伝える。誤解なく伝える、クレームなく伝える、相手の気持ちをこじらすことなく伝える、こんな文章力がとても必要となってきています。活字離れなどと簡単に済ませられない状況がやってきています。
話し言葉と書き言葉。似ているようで似ていないですね。口に出して話す言葉も難しいと思います。言葉の使い方ひとつで、相手が納得したりわかってくれたり行動してくれたりする。また、あまり考えたくはありませんが、その逆の反応も大いに起こり得ます。でも話し言葉は、身振りや手振り、声のトーンや大きさ、言い直しや言いかえなどでフォローできたり修正っできたりしますが、書き言葉、この場合メールですが、身振り手振りとか声のトーンとかこんな補助的要素はまったく使えません。また、爆弾発射装置を押してしまった!と同じことで、一旦送ってしまうと、“待った!”はできないのです。一度送ったメールは次の瞬間、もう相手に届いてしまっています。
■本を読む
本を読むこと。いいところって何?これは、まず、いい文章に触れられること、ではないでしょうか。
いい文章とは、魅力的表現や味な言い回し、言い得て妙な語彙、知らなかった言葉、本の中でこんな出会いがあることなのかと思います。たくさん読めば読むほど多くの出会いがあります。自分の人生では自分ひとりきりの分量分しか経験できないけれど、本を読むと読んだ分の人生や考え方を経験することができることも大きなメリットと思います。
映像を見る。これは楽で楽しいことだけれど楽しい分だけあっという間に過ぎ去ってしまってしまい、映像の記憶は残るかもしれないけれど、そこには背景や考え方を深く考えるような導線はないと思えます。でも本にはありますね。本に描かれている作者の言葉で背景描写やシーン描写を自然と行います。書いてあることの意味合いや作者の意図を考えようとします。考えることで先の記述予想も自然とするようになります。論理的に考えることも行います。
森鴎外や夏目漱石、井伏鱒二、川端康成、三島由紀夫、こんな文豪とか天才と呼ばれる人の作品。ビジネス書やノウハウ本のような実務に役立つ書籍。紀行文やエッセイ。いろいろな人の文章表現、考え方、ノウハウ。これらに触れて自分の頭で一通り分析すると読む前とは違った頭の構造になって自分の糧となるでしょう。そして読んだこと、触れた表現がいつしか自分のものの一部となって書き言葉に変わって出てきます。
これが本を読むことの最大の功績なのです。
採用活動を行っていて、「読んでいる本を聞かせてください」と質問すると、1ヵ月に2~3冊読んでいる人、1ヵ月に1冊程度読んでいる人、殆ど読んでいない人。ほぼこのような3つのタイプに回答が分かれます。
履歴書の文章を拝見すると、2~3冊読んでいる人。その人の文章は日本語としてはまずまずです。ほとんど読んでいない人はこの逆でおかしな表現をしている人が多くみられます。メールの表現、文章の書き方、語彙力、この要素で、伝えたいことが伝わったり伝わらなかったりする現代です。いいえ。伝わらないのでは済まずにクレームやトラブルに発展する恐れさえあります。
文章力は一朝一夕に身に着くものではなくそれなりに長い時間が必要です。どうせ採用するのであれば基本的文章表現力を卒業時に持っている人の方がいいでしょう。先輩がチェックする。教える。修正する。その労力が省けます。その際に効果的な質問が、「読んでいる本は・・・」という投げかけなのです。