背景を考えて仕事する
仕事を行う時、その仕事を行うための背景を考えて取り組む。背景を考えて仕事に取り組むのと取り組まないのでは結果に雲泥の差が出てきます。新卒を採用して入社後仕事を覚えてもらう時、このことを意識して教育すると早く成長してもらうことができ会社経営の効率が上がります。
もう少し具体的な言い方をすれば、どうしてその仕事を行うのかを考えてみる、ということになります。
■30センチのアクリルケース
新入社員の人たちは、多くの仕事をこれから覚えていかなければなりません。でも何から覚えていったらいいのかさえわかりません。ですから上司や先輩から、これをやって!と言われるとあとさき考えずにすぐに仕事に取り組もうとします。仕事といってもそう難しいことはできませんから、たとえば、なになにを買ってきて、とか、これこれをだれだれさんに届けて来て、と、こんなたぐいの仕事が最初は多いのではないかと思います。
もし、あなたの会社が展示会に出展しようとしていると仮定しましょう。
展示会用の必要備品の買い出しにいく必要があるのですが、あなたは多忙で買い出しには行けません。そこで新入社員に買い物を頼みます。会場で抽選会を行いたいので、透明のアクリルケースが欲しいと考えています。30センチ角のアクリルケースがあると良さそうなので、新入社員に買ってきてもらおうと考えています。そこで買い物に出た新入社員は言われるがままに30センチ角のアクリルケースを探します。ここで目的のアクリルケースがすぐに見つかれば何の問題もありません。
しかし指示を受けた30センチ角のアクリルケースがなかった場合のことを考えてみます。あなたは、アクリルケースを抽選で使用したいのですが、実は30センチ角のものでなくても25センチ角のアクリルケースでも35センチのアクリルケースでも実はいい。仮に30センチ角のアクリルケースが欠品していて25センチ角のアクリルケースが在庫していたのであれば、一言あなたに断ってそれを購入すればことは済みます。しかしこの場合そんなあなたの意図が新入社員に通じていなかった場合、新入社員はひたすら30センチ角のアクリルケースを探すことになります。A店になければB店まで行って探し、B店でもなければさらにC店にも足を運ぶことになってしまいます。時間と労力の無駄が発生してしまいます。
■伝える側、理解する側
アクリルケースの場合、さらに考えていくと、透明素材でなくてもいいのなら、紙製の抽選箱でも良いのです。ただ、抽選に使いたいだけなら中は見えないけれど紙製抽選箱でも十分役目を果たすし、紙製の方が価格、携帯性、保存性を考える時、かえってアクリル製より都合がいい場合もあります。
この時、先程お話ししたようなあなたの意図、展示会場で抽選に使いたいという意図。これを十分理解していれば、紙製抽選箱の代替提案もできる可能性があります。「アクリルではなく紙でもいいのではありませんか」。こんな風にです。このように仕事はどんな仕事においても、何の目的でいつどのように使用するのか、を教える必要がある(理解する必要がある)ということです。
上司や先輩は教える立場です。新入社員は理解する立場です。お互いにそんな気づきをもって仕事に臨めばいたって効率的な仕事を行うことができます。今回紹介している事例は一例に過ぎません。
実は実際の仕事でも今回紹介したようなお互いの思い違い、理解違いによる、多くの無駄が発生しているのです。そんな単純なコミュニケーションミスはない、と思われるかもしれませんが、もう一度周りを見渡してください。仕事の背景まできちんとコミュニケートできているか、言われたことをそのまま単純に行ってはいないか。言われた通りのお使いなら何も高い給料を支払って大学卒業社員にたのむ必要はありません。パートさんや学生アルバイトでも充分でしょう。それなりの給料を支払うために、それなりの給料をいただくために、背景の伝え方を見直してみてはいかがでしょうか。