柔軟に働ける環境
採用環境の変化に伴って、働く環境を柔軟に変えていこうという動きがあります。若年労働人口の減少、女性の社会進出躍進、このような労働マーケットの変化に合わせてのことです。2016年7月10日日曜日の日本経済新聞朝刊の記事からそのあたりの事情をみていきたいと思います。記事はこう書き出しています。(以下抜粋)「柔軟な働き方推進」というタイトルで、「化粧品・日用品各社は従業員が柔軟に働ける制度の創設や拡充に乗り出した。日本ロレアルは今年4月から不妊治療などに取り組む従業員が時短勤務できる制度を導入。資生堂とユニリーバ・ジャパン(東京・目黒)は在宅勤務制度を導入・拡充した。化粧品業界などは女性従業員の比率が高い分、働き方改革の取り組みで先行している。」(以上抜粋)。この記事は女性従業員が多い業界にフォーカスしてまとめていますが、女性が多い職種はもちろん、今後はそうではない業種業界も一考する課題であると感じています。
■各社各様の試み
その記事で、働き方改革として各社の取り組みが紹介されています。それを紹介していきたいと思います。
■資生堂さん/在宅勤務制度導入・育児休業制度(子供が満3歳になるまで通算5年まで取得可能)・本社近くに従業員向け事業所内保育施設を設置。
■日本ロレアルさん/育児時短制度(10歳未満の子を養育する社員は1日最大2時間短縮できる)・妊活理由の時短勤務が可能(1日3.5時間以上、週2日以上は勤務)。
■コーセーさん/育児休業(産後1年半まで取得可能)・育児のための限定勤務地制度の整備。
■花王さん/フレキシブル制度(育児介護のため半日出勤・週3日出勤・在宅勤務のいずれか選択可能)・フレックスタイム制(始業終業時間を柔軟に選択可能)。
■P&Gさん/月5日まで自宅以外での勤務可能・勤務時間を月単位で管理(始業就業時間を柔軟に調整可能)・時短勤務(育児・介護などを理由に最大で所定労働時間の60%まで労働時間を短縮可能)。
■ポーラ・オルビスホールディングス/職場復帰サポート手当(復帰時期に応じて月最大5万円支給・ポーラさん)看護休暇(年12日を支給、子が6歳まで・オルビスさん)
このような紹介が記事にありました。社員一律のマネジメントに比べると個々のマネジメントが発生するので随分大変だろうと感じますが、各社さんともそれぞれの工夫で新しい働き方や勤労環境を考案し実施していらっしゃるようです。これもそれも冒頭で話した若年労働者の減少、女性の社会進出躍進、これに加えて高齢化社会での看護介護問題も複雑に絡んでいるのでしょう。
■社会での活躍を望む女性
最近では、結婚、出産、育児休暇取得、育児、そして職場復帰する女性をよく見かけます。女性も男性同様、学校を出て就職し、仕事を覚えて貴重な会社の戦力になって活躍します。男性との差はここまでほとんどありません。むしろ女性の方が優秀な場合もよく見かけます。ただ、女性の場合男性と違うのは出産に直面することです。結婚・育児は男性でもできます。しかし出産という大業は女性しか対応できません、当たり前ですが。この大業の前後、女性は仕事を休業するしか道はなく。今まで、今から数十年前までは、ここで女性の職業人としてのキャリアは一旦終わりを迎えていました。そして子育てが一段落した後に就業しようとした時それまでとはまったく違った職業につきいわば社会人1年生のような心持で職業復帰するのですが、やりがいや待遇面では満足いく内容とはちょっと遠い環境下に置かれてしまっていた事実があります。これではもったいない、と女性本人たちも思い、企業側もそこに気づき創設し出したのが今回紹介してきた変則勤務パターンです。女性の勤務意欲が向上し結婚出産後も同じ企業で今まで培ってきたノウハウ技術を活かして社会貢献したいと思う女性は大変増えています。若年労働人口がここ30年ほで年々減っていくことが容易に想像できる現代では大変ありがたい社会現象であると感じています。