採用専用サイトの活用
採用専用サイト(新卒編)は大活躍
最近、大企業を中心に大学生を対象とした採用のための専用サイトを見かけます。大企業は会社として伝えるべきコンテンツが中小の比ではありません。製品情報からIR情報まで大変多くのことをホームページで公開する必要があります。ですから採用のための情報サイトは、本サイト(コーポレイトサイト)とは切り離して作成しなければ、せっかくつくった採用サイトも本サイト上の他の膨大な情報に埋もれてしまいます。採用は企業の明日を考えるとき、はずして考えられない(なくてはならない)企業活動のひとつとなので、この採用に関する情報サイトが埋もれてしまっては元も子もありません。本サイトとは区別(隔離)しての採用専用サイトを作成運用している企業が殆どです。しかし、本来、このような採用専用サイトが必要なのは、大企業ではなく、むしろ中小企業なのです。それは学生が大企業と比較して中小企業を見た場合、中小のよさ利点(魅力)を伝えることが必要だしそれを可能とするのが採用専用サイトだからです。
■大企業との差別化に効果発揮
採用専用サイトでどんなことが広報できるのでしょうか。大きな利点として、その会社で働くひとにフォーカスしながら作成することで、大企業にはない暖かみや人間性を表現できること、伝えることができることです。大企業はひとよりも組織優先です。個人的にこれはおかしいと思うことでも上部からの指示には従わなければなりません。全体としては正しい動きても個人レベルでは正しくないということが起こります。組織が大きいだけに融通が効きにくい、臨機応変がやりにくい、このような状況が発生します。こんな状況下、新卒採用専用サイトに掲載されている情報は当りさわりのないもの、戦略的な仕事の方向性や大義名分にのっとったコメントばかりとなります。それと比べ、中小のコメントは現場のリアルな情報や代表者の声、臨機応変な活動、責任者と一般社員の声、進んでいるプロジェクト、レクレーションとコミュニケーション、こんな仕事密着情報がファミリー的雰囲気で掲出できたりします。
■瓢箪から駒のような経緯
2015年に、そんな新卒採用専用サイトを作成したある企業に今回取材しました。よいこと・わるいこと、効果・非効果に関して聞いてみました。
こんにちは。当社の新卒採用専用サイトに関してお話しします。正直申し上げると、作ったきっかけは、当社の情報がある専門学校で紹介されるので、その専門学校の学生に対して宣伝の意味合いを込めて作成したのでした。ですから、新卒向けに専用に作成したのではなく、たまたま新卒向けの情報サイトとして機能するようになったというのが正しい経緯です。でも、そうは言っても新卒の獲得に結果的におおいに役立っているのですからありがたい話と思っています。もともと当社は20代・30代の社員が多く、若くて元気がよく活きがイイのが特長です。上司・部下の垣根も低く、みんな和気藹々と仕事をしています。そんな部分を学生に伝えられたらイイと思って作成していきました。
■学生目線での作成を心がける
まず、会社の特長として、いくつかの項目をピックアップしてまとめました。仕事に関する考え方ややり方。現在の社員平均年齢、社員数、残業時間、レクレーション。学生に仕事の専門的部分を語っても理解できないので、できるだけ学生目線でのコンテンツ作成を心がけました。社長のコメントもこれから社会に出る学生への応援歌というコンセプトでまとめました。特に力を注いだのは、先輩コメントコーナーです。あとでホームページを解析してわかったのですが、このページを見に来る学生が圧倒的に多く、かつ滞在時間も長いのです。やはり、学生は、少し前に入社した先輩がどんな仕事をしているのか、どんなことを悩みながら成長していっているのか、実際の仕事はどこにこんなことを気をつけながら行っているのか、こんな点をよく読んでいるようです。
■圧倒的に上昇した説明会予約率
瓢箪から駒ではありませんが、この新卒サイトは大変効果を発揮しています。当社は例年大手就職ナビに掲出して学生に募集告知を行っています。ここ数年大手就職ナビに掲出していますが、一昨年(採用サイトなし)と昨年(採用サイトあり)では学生の集まり方がまったく違っています。当社のやり方は、就職ナビ掲載→説明会告知→説明会実施→面接という流れですが、説明会の予約率がサイト作成前とあとでは大きく違います。もちろんサイトありの昨年の方が断然高い参加率となっています。説明会参加率自体は約50~60%と一昨年も昨年も大差ありません。肝心の学生採用率は、サイトで会社のPRができ会社をしっかり理解してから入社を希望してくれる学生が多いためお互いの思惑違いが少なくなって、採用率もいい数値に繋がっている感があります。ただ、これはあくまで感覚ですから、はっきり採用率が向上したと言える状況にはありません。しかし、昨年は非常に優秀な学生を確保できた点で大いに満足しています。皆さんへのアドバイスとしては採用サイトは作られた方がいいと思います。予算的には100万円前後かかりましたが、いい学生がひとり採用できれば、金額的には十分採算がとれます。もちろん、ひとりということはなく数人レベルで採用できるし、採用活動は毎年続くことなので金額では推し量れない効果があることを疑う余地はないでしょう。