就活が後ろ倒しになると、どんな影響があるの?
2015年から学生の学業を優先するという理由で、後ろ倒しとなった就活スケジュール。
後ろ倒しになったことでどんな影響があるのでしょうか?メリット、及びデメリットは?
公務員試験や教員実習などとの両立は可能なのでしょうか?
今回は就活スケジュールが後ろ倒しになったことによって起こる影響についてまとめました。
■2015年から就活が3月解禁に
学生は学ぶことが本業。その通りだと思います。
実際、大学4年間で専門的な知識を得ることは大変有意義なことですし、心身ともに大人になった学生たちはさまざまな世界に興味を持ち、自分たちの力で道を切り開いていきます。
そんな学生の学びを優先させるために、政府は経団連に就活の後ろ倒しを要請。その要請を受け入れた経団連は2015年、就職活動の解禁を3月1日からと大幅に遅らせました。
しかし、その学生の為を思って行った後ろ倒しは皮肉なことに学生の負担になってしまいました。
今回はその就活スケジュールの後ろ倒しによる影響についてお話したいと思います。
■① 学生の混乱
異例のスケジュール後ろ倒しとなった2015年ですが、今までと状況が異なることから学生は、先輩の話も聞けずに自分で手探りをしながら就活をするしかありませんでした。
当時の就活生は不安にかられ、他の人の選考の進み具合や内定をもらったかもらっていかと周りの動向にハラハラしていたそうです。
それもそのはず。経団連からは「3月解禁」と言われてはいますが、それを守らず例年と同じように選考を始める企業が多くありました。
それによって企業の選考がばらついてしまい、結果的には逆に就活が長期化されてしまうという結果になってしまいました。
■② 準備が間に合わない…!
就活スケジュールが後ろ倒しになることで、エントリーと選考の間の期間が短くなり、「短期決戦」という状況になった2015年。
それによって、選考が始まっても自己分析や企業研究が甘い学生も多く、早くから準備していた学生との格差が大きくなってしまったことが目立ちました。
そもそも、就活には早期の対策や準備が必要なので後ろ倒しにしたところで結局、学生の負担は変わりませんでした。
■③ 内定を蹴る学生が増える?!
大企業の多くは経団連にしたがってスケジュールを守っていましたので、それ以前に採用活動をしていた企業から内定をもらっても、それらを蹴ってしまうという学生が多くなりました。
企業側は、せっかく採用した学生が多く辞退してしまったらいけないと、さまざまな形で内定者をフォローしていきます。内定者や社員の人たちとの懇親会もフォローの一つです。
企業に入社するのは学生の自由。決して内定辞退を引き止めたりすることのないようにしましょう。内定者に対して就職活動を終わらせることを迫る「オワハラ」も問題になりました。中にはこのオワハラに怯えてなかなか内定辞退を言い出せない学生もいます。
企業は学生が入社を悩んでいることを素早く察知し、すり合わせなどを行って学生の迷いを解いてあげてくださいね。
それでも、内定辞退者が多く出てしまったという企業は秋採用や中途採用に力を入れるなど、さまざまな解決策や工夫が見られました。
■④ 学業に集中できない!
学業を優先させるためにスケジュールを後ろ倒しにしたのに、学業に集中できないってどういうことなの?と疑問に思われる方もいるかもしれません。
それは卒業論文が原因にありました。
卒業論文は大学に差はありますが、一般的に11月から1月にかけて提出期間が設けられてあります。したがって学生は就職活動が終わってすぐに卒業論文に取り掛からなければなりません。就活が長期化すればするほど卒業論文に支障をきたしてしまうことになってしまいます。
さらに、4年生の多くの時間を就活に費やしてしまうため、授業に出ることが難しかったという声も上がっています。
ゼミや卒業論文の授業に出られず、論文作成が疎かになってしまっては本末転倒です。また、4年で単位が取りきれず、内定をもらっていたにもかかわらず留年してしまった学生もいるのだとか。
初めから計画的に単位は取っておくべきですが、後ろ倒しにするとこのような影響も増えていくというのも事実です。
■⑤ 公務員、教員の併願の減少
公務員試験は4月から夏にかけて開催されるので、就活動時期が合わさってしまいます。
そうなると、なかなか民間の就活と公務員試験を両立することは難しくなっていきます。範囲も広く、十分な対策が必要となる試験を受けるには効率の良さと事前の準備が必要となっていくでしょう。
さらに教員実習も6月にあり、こちらも時期が被ってしまっているので不可能とは言いませんがハードなスケジュールが予想されます。
結局、スケジュールを後ろ倒しにしてメリットはあったのでしょうか?この記事を書くにあたって、メリットがあったにせよデメリットが多すぎるのではいかと感じています。
どうしても3年4年と就活の準備に追われ、学業が疎かにになってしまうのなら、卒業後に就活を始めるという考えも理にかなっているのではないでしょうか。
そもそも、第一新卒でなおかつ一斉採用にこだわる日本の就活の形に疑問を抱いている方も多いはず。
グローバル化が進んでいる現在。就活の方法もそろそろ日本のこだわりを脱ぎ捨てたほうが良いかもしれません。