当世学生気質
内定(内々定)を考える
今回も大手就職ナビマイナビが実施した調査データから皆さんに興味深い?データを紹介したいと考えます。2016年卒業者を対象にした8月調査です。8月調査なので2017年卒業者対象(2016年採用活動)に置き換えると6月時点の調査と考えることができます。この時期に企業は学生と面接を行い内定(内々定)を出していきます。企業側と学生側の考え思いが交差しています。2016年卒業者対象のアンケートから見えてくるものは・・・?
※文中、「内々定」表記ではなく「内定」表記に統一しています。
アンケートはまずこう聞いています。
就職活動開始時期と比較しての現在の感触は?「思ったより厳しい」22%、「思ったとおり厳しい」31%、「思ったより楽」28.9%、「思った通り楽」3.8%、「何も感じない」14.3%。
半数以上の学生が「思ったより厳しい」と捉えています。楽と答えているのは約3割。有名大学の学生で志望候補先も広い学生からの回答でしょうか。続いてどのような点が厳しいと感じているかという質問。「企業の採用数が少ない」29.1%「。交通費等の費用面」44.4%。「選考までの準備期間」19.3%。「活動にかかる期間が長い」50.9%。「選考基準が高い」30.8%。「学業との両立」37.6%。「セミナーや選考が集中して多忙」18.9%。
結果を見ると、就職活動費用への悩みと活動期間の長さに対する不安。このふたつが極点に多い結果となっています。これは活動が長引けば長引くほど、就職活動費用はかさむし、また、選考基準が高ければ高いほど就職活動は長引くので、三つをほぼ同じ回答とも捉えることもできるかと思います。大半の学生が「選考基準の高さ」を嘆いていることが垣間見えます。
■悩み多き交通費
就職活動で不安に思う要因は、「就職できるかどうか」が52.7%で最も多い。次が「交通費などの金銭負担」が41.4%。三番目に「学業との両立」を挙げている。選考基準が高いと感じている学生が多いことは先に述べたとおりで、そのことが要因で就職できるかどうかを不安視している学生が多いことに気づかされます。交通費に関する悩みもここでも多く、特に地方大学で都心への就職を考えている学生は特に大変かと推測されます。また、都市圏に住む学生にとっても、頻繁な会社訪問や面接が重なれば交通費の負担もかなり積み重なってくることになるでしょう。最も注力している就職対策は、「面接対策」が41.3%で圧倒的。「マナー対策」10.4%、「企業研究」6.6%がこれに続いています。企業を選ぶときに注目するポイントとして、「企業経営が安定している」が1位、「社員間の人間関係」が2位、「希望する勤務地」で働けるが3位となっています。安定した経営の企業で、社員間のストレスを感じることなく、転勤のない環境で働きたいという昨今の学生気質を垣間見る思いがします。
■内定(内々定)を考える
次に内定保有者に限定した質問です。今後の就職活動については・・・。「内定先に満足したので終了」73.5%。「内定先に不満だが終了」4.8%。「内定先に不満なので続行」7.9%。「内定先に不満ではないが他の企業もみたいので続行」12.6%。となっています。内定をもらった時点で就職活動を終了する学生が約8割ということになります。企業側として内定出しを急ぎたい気持ちがわかる報告となっています。次に内定をもらった社数を聞いてみます。「1社から内定」41.1%、「2社から内定」28.2%、「3社から内定」16%、「4社から内定」6.9%、「5社から内定」6.9%、「6社から内定」1.6%、「7社以上から内定」2%。5社、6社、7社以上から内定をもらった学生も1割近くいます。内定先企業をどのようは手段で見つけたかという質問に対して、「就職情報サイト」が30.2%。「合同企業説明会」13%。「学内合同企業説明会」11.9%。就職サイトと説明会併せて約5割の学生が企業発見ルートとしてそれらを活用し結果就職先候補に巡り会ったことになります。これに続いて「企業ホームページ」が7.6%。「インターン」が6.4%となっています。学生への自社PRとして、まずは就職サイト(就職ナビ)掲載、次に説明会開催、そしてホームページ充実とインターン実施。やはりこれが学生を集めるための常套手段とわかります。次に内定を受けた時期に関して。「8月上旬」22.9%、「8月中旬」5.2%、「8月下旬」4.4%。8月合計32.5%。8月内定が32.5%ということですから逆に考えると8月以前の内定受け取りが72.5%ということになります。実に4分の3の企業がフライング内定出しを行っている現状が浮き彫りになります。次に一次面接から内定までの選考回数。3回35.7%、2回35.1%、1回11.7%。8割を超える企業で3回(三次面接)までに内定を出しています。次に一次面接から内定をもらうまでの期間。1日4.8%。2~3日5.2%、4から6日5.3%、1週間から2週間13.6%、2週間から3週間12.8%、3週間から1ヵ月17.8%、1ヵ月から2ヵ月27.8%、2ヵ月以上12.7%。驚くのは一次面接のその日に内定を出している企業が約5%もあることでしょうか。
■内定~学生の獲得
入社したい気持ちに影響したものへの回答。「インターンシップを経験した」7.1%、「選考に受かった理由を説明された」6.9%、「工場見学や職場見学をした」6.5%、「選考の当日あるいは翌日に結果の連絡があった」5.4%、「OB・OG訪問をした」5.2%、これらが具体的理由をあげている回答の上位です。ただ、半数以上53.9%の学生は「特に影響したものはない」と答えています。入社意思を固めるまでにもらった期間として、「特に期間は設けられなかったが即決した」が28.0%で一番多く、「1週間以上2週間以内」が14.7%で2番、「即決を迫られた」も比較的多く7.5%で3番となっています。「内定を受けた当日中」が3.3%、「2~3日」5.8%、「4~6日」5.6%、「2~3週間」9%、「3週間~1ヵ月」6.3%となっています。1ヵ月以内の回答を求めている企業が52.2%と半数を占めていて、ここでも内定を学生に承認させ、はやく自社の採用活動を終わらせたい(優秀な学生を確保したい)という企業心理がみてとれます。