コミュニケーションを磨く
伝え方を思う。「絶対的価値と相対的価値」
社会で生きていく、会社で仕事をしていくこと、を考える時コミュニケーションは最も大切な要素と言えます。もちろん健康が一番、お金が二番というような考え方もあるかとは思うのですが、うまく生きていくために、効率的に仕事をするため、にといった視点で考えていくとコミュニケーションは前述のように最も大切な要素と捉えることができるかと思います。
採用の際に応募者のコミュニケーション能力はどうだろうと思って、「人と話すことは得意ですか。」とか、「コミュニケーションに関して自信ありますか。」と聞いている担当者も多いかと思います。でも仕事上でのコミュニケーションは実際問題とても難しいと思います。完全に行うことは至難のワザと言ってもいいのではないでしょうか。
今日は採用ノウハウとは少し離れますが、メッセージの伝え方で、絶対的価値で伝えた方がいいこと、相対的価値で伝えた方がいいこと。このことについて述べていきたいと思います。コミュニケーションの一端と考えてお読みいいただければと思います。
■絶対的価値で伝える
たとえ話です。僕は文房具店の店主です。文房具店なので多くの文具製造会社と取引しています。また店頭販売だけではなく外販にもチカラを入れています。そんな中、近所の〇〇学習塾は大のお得意様です。ある日、〇〇学習塾を訪問した際に、いつものホワイトボードマーカー1,000本特急納品の発注を受けました。特急なので(急ぐので)僕はその場で会社に電話して在庫の確認をします。
「あっ、〇〇くん、いつも〇〇学習塾に納品しているホワイトボードマーカー、大きい方のマーカーだけど在庫はいま会社に何本ある?」これを受けた〇〇くんは、「え~っと、大きい方のマーカーは在庫切れです」と答えました。「ではすぐにメーカーに注文して」と指示をしたのですがメーカーでも運悪いことに在庫切れしていました。この場合特急で納品ということでしたから最悪の場合注文がキャンセルになる可能性が出てきます。実は大きいマーカーは会社に在庫が1,000本あったのです。僕が大きい方と言ったマーカーは〇〇くんの認識では中の大きさのマーカーだったのです。マーカーは太字(大)・中字(中)・細字(小)の3種があります。僕が大きいといったマーカーは太字のものですが〇〇くんの認識ではそれは中字(中)の大きさのマーカーだったのです。
この場合、いけなかったのは、大きい、中くらいという相対的価値でコミュニケーションしてしまったためにこのような勘違いが起こったことが明らかになります。
僕がもし相対的価値ではなく絶対的価値で伝えていたら。これは次のような伝え方となるでしょう。「あっ、〇〇くん、いつも〇〇学習塾に納品しているホワイトボード、型番は〇〇〇のもの」このように伝えていたとしたら。今回のようなコミュニケーションミスは起こらずビジネスチャンスも確実にモノにできたはずです。
実はこのような勘違いによる非効率が実際の企業活動でも日常茶飯事起こっているのです。ここに気づく必要があります。ビジネス、特に事務的コミュニケーションでは、絶対的価値で伝える。このことが基本中の基本である。そんな認識を会社全員で徹底することがとても大切なこと、わかっていただけましたか。
■相対的価値で伝える
今度もたとえ話。
当社は清涼飲料水のメーカーです。今度の新製品には大いに期待しています。なにせレモン100個分のビタミンC入りの飲料水を開発したのですから。当社の宣伝担当者との打ち合わせの結果、宣伝文句は「レモン2,000ミリグラム入りのビタミン飲料。新登場!」です。しかし思った以上に売れ行きが芳しくありません。レモン一個のビタミンCは約20ミリグラム(ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン)、その指標に基づいて広告キャッチも考えました。しかしこの場合、何がいけなかったのでしょうか。
レモン2,000ミリグラムってはたして多いのか少ないのか、よくわからないのではないでしょうか。この場合、宣伝文句は、ズバリ「レモン100個分のビタミンC」です。「レモン2,000ミリグラム」と「レモン100個分」どちらがじゅわーっと口の中がなりそうでしょうか。レモン100個。このほうが多いように感じませんか。
これに似た表現としてよく使われるのが「東京ドーム〇〇個分のなになに」という表現です。絶対的価値「〇〇㎡の土地」というより相対的価値「東京ドーム〇〇個分」と言ったほうがはるかに広そうな感じを受けます。このように広告表現では相対的価値で伝えてあげたほうがうまく訴求できる場合がほとんど。
いかがでしょう。絶対的価値と相対的価値。明日から使い分けてみてはいかが。