今、働く人の5割が女性とシニアで構成されている
2016年6月30日付日本経済新聞朝刊第一面にこんな記事が出ました。(以下抜粋)。
「女性・シニア働く人の5割 15年国勢調査 人手不足補う 総務省が29日公表した2015年2015年国勢調査の抽出速報集計で、就業者全体に占める女性と65歳以上の高齢者の割合が初めて5割を超えたことが分かった。少子高齢化のあおりで労働人口は6075万人と前回の10年調査と比べ295万人減少し、6千万人割れが目前に迫る。増加する介護・福祉分野などの人手不足を補うため女性とシニア層が働き手として存在感を高めている。」
■労働力は当分減る一方
この記事は、2015年国勢調査のポイントをこうまとめている。
65歳以上の割合は過去最高23%(2010年)→26.7%(2015年)。15歳未満の割合はさらに低下13.2%(2010年)→12.7%(2015年)。労働人口は6000万人割れが目前6370万人(2010年)→6075万人(2015年)。医療福祉の就業者数は700万人超に613万人(2010年)→711万人(2015年)。ひとり世帯はさらに増加1679万世帯(2010年)→1685万世帯(2015年)。4人に一人が65歳以上。10人に一人が15歳未満。
これからの就業者確保という意味合いにおいては本来逆転してほしい数字です。この5年で就業者が約300万人減っています(一年で60万人減っていることになります)。日本の企業数は約300万社と言われています。ということは、ここ5年で一社あたり一人の割合で労働者が減っていることになります。5年で一人。少ないと思ってはいけません。300万社の95%以上は中小企業、そのうちの多くは社長ひとりで運営している会社や従業員数人規模の会社なのです。5人の従業員で運営されている企業は5年で働き手がいなくなるということです。一般に大企業へ人は流れていくので、今後採用に関して中小企業は数値以上の危機感を持つべきではないでしょうか。
■増えるシニアと女性労働力
そんな中、就業シニア層の増加が目覚ましい。2010年比で27%増加し2015年は758万人が就業している。6075万人のうち758万人、比率は12.4%、つまり10人に一人強でシニア層が活躍していることになる。シニア層は若い。一昔ではお年よりに分類されていた年代であるが、今はそんな意識は微塵もなく皆さん元気。60歳定年、後の人生は就業することもなく隠居生活を送っていた世代も、一億総活躍社会を掲げる現政府の後押しもあり、現役戦士として活躍している。2010年と2015年を比べると女性の就業者はほぼ横ばい。減少はしていない。女性の就業で課題は子育てと仕事の両立である。日経新聞によると、(以下抜粋)。「女性の労働力率を年代別でみると25~29歳の80.9%をピークに、30代は72.4%まで低下。結婚や出産を機に退職してしまうためだ。育児後に復職して労働力率は再び上昇し、40~44歳は75.7%、45~49歳は78.0%まで上昇する。」(以上日経新聞)。今後の採用を考えた場合、シニア層と女性の活用はかかせない。収入より生きがいやりがいのシニア層をうまく活用することでそれにかかる人件費を超える成果が期待できるし、時短勤務、自宅勤務の就労環境を整備することで、女性が力を発揮する場が増える。
今後、企業経営を支えるキーワードのひとつは、「シニアと女性」であることは間違いないでしょう。シニアと女性を活用できる企業は伸びる。こんな言葉が語られる日はそう遠くはなさそうです。